流れる汗が目に入り、視界が滲む頃になって、悠人はようやく自転車を止めた。追いついた蒼大も自転車を放り出すように降りるなり、その場に大の字になって倒れ込んだ。 悠人も同じように崩れ落ちたかったが、警戒を解くことができず、ハンドルの上に頭をもたせかけて息を整えた。ふと顔を上げると、芽生の姿が目に入った。 芽生は立ち尽くしたまま、じっと前方を見上げていた。その佇まいには、どこか尋常ではない気配が漂っていた。背を向けていたため表情は窺えなかったが、何が彼女の視線を釘付けにしているのか、悠人にもすぐに理解できた。蒼大ものそのそと起き上がって同じ方向を見つめ、悠人も目元の汗を拭いながら辺りを見回した。 たどり着いたのは、遊園地の前だった。 悠人は、ふらつく足を拳で叩いて叱咤しながら、ゲートの向こうを眺めた。まだ朝だというのに、園内はかなりの人出があるように見えた。 「……入ろうか」悠人が言った。 「警察がまだ追いかけてくるかもしれない。完全に撒けるまで、あの中の人ごみに紛れるのも悪くないと思う。……どうかな」 拒絶されるなら強要するつもりはなかった。実際のところ、悠人自身もあまり足を踏み入れたい気分ではなかったからだ。蒼大も芽生も同じ思いであることは明白だった。だが、二人は間もなく静かに頷いた。 「うん、入ろう」 「今は、仕方ないからね」 そうして二人が先に歩き出した。悠人が動けずにいると、二人は立ち止まって彼を振り返った。悠人は自分が提案したにもかかわらず、最後まで躊躇いを感じていたが、結局は重い足を引きずってゲートへと向かった。 三人は乗ってきた自転車を入り口から離れた場所に乗り捨て、チケットを購入して園内へと足を踏み入れた。